LOTUS EXIGE & ELISE111R double adjustable suspension system
by
JRZ Suspension Engineering BV

Lotus Exige & Elise 111R double adjustable suspension system

by JRZ Suspension Engineering
JRZ社とのコラボレーションによりNew Exige & Elise 111R専用サスペンションシテムが完成!

目次 [ JRZダンパー特性 | JRZ基本構造 | 走行性能 ]



JRZ Suspension Engineering社について

JRZ社はオランダ(Uden)に本拠地を置く、ハイパフォーマンスロードカーからフォーミュラ用の高性能サスペンションシステムの研究開発、 デザインを行うスペシャルダンパーメーカーです。

JRZダンパー特性

JRZ社は長年培ってきた経験と豊富な自動車力学知識、データに基づきJRZ社独自のバルブ、 オリフィス機構により、微低速領域(サスペンションの初期ストローク)においても十分なダンピングフォースを発生させることにより今までに無かった高次元でのハンドリング、 トラクション、スタビリティー、車両コントロールの向上を実現しました。

特徴1)今までに無い、路面との接地感を実現
これは、JRZ独自の精密バルブスタック(多板構造シム)と高精度に加工されたオリフィスにより、 微少なピストンの動きに対してもレスポンス良くダンピングフォースが立ち上がるので他のダンパーではまねの出来ない絶妙の接地感をドライバーに与えることが出来ます。

特徴2)あらゆる路面、シチュエーションに対応できる多段階調整システム
ダブルアジャスタブルシステムの場合、リバウンド、バンプをそれぞれ独立して多段階(16段階)に調整ができます。
また、その1段階の調整がドライビングフィールにダイレクトに影響を与える。

特徴3)JRZ独自のガスチャージシステム
独自のリモートリザーバータンク内のガスシステムにより、減衰力に影響を与えないで、 リフトフォースを約4〜20barの広範囲にて設定でき、これによりスプリングレートの変更無しにロール剛性の調整が行えます。

JRZ基本構造

図1にシステムの透視図を示す。
基本的には他社メーカー同様シングルチューブ構造であり、ド・カルボンタイプ変形(ガスタンク別体)のように見えるが、 ダンピングシステム構造は、シングル、ツイン双方の特徴を兼ね備えたシステムであります。

図1
図1(クリックすると拡大表示されます)

1)ピストンロッド
ピストンロッド径16mmと純正ダンパーより太いロッドを使用しています。
これはリフトフォースの調整を容易にするためである。
※リフトフォースとは?
ダンパーが伸びようとする力すなわち車体を持ち上げる力であり、車両ロール剛性を高め、ノーズダイブを抑制する役割を持っています。
また、この値はロット断面積及びガス圧に比例し、1bar当り約1.57kg、最大20bar時で31.4kgのリフトフォースを発生できます。

2)ピストン
ピストン径40mmのピストンにはリバウンド、バンプ双方の固定減衰力を発生させるための径の異なるシムを重ね合わせた多板構造のバルブスタックを採用しています。

3)バルブスタック(多板構造シム)
この多板構造のシムを利用してダンピングフォースを発生させる手法は、それほど珍しくは無くド・カルボン型のダンパーでは、 BILSTEIN、KONI, OHLINSなども基本構造は同じである。
JRZの最大の特徴は、このバルブスタックを初期作動時及び超微低速でのダンピングフォースを速やかに立ち上げるため、 ノンプリロード(無負荷)構造としている。
通常このような薄いシムを用いた多板構造の場合、個々のシムの厚さ、平面度等の微妙な違いにより、 ある程度のプリロード(負荷)を与えて置かなければシム同士が圧着しない。
しかし、プリロードを与えると初期作動時にプリロード荷重以上に入力が達しないとバルブが開かないので、 目的段差などを走行した時の衝撃入力がハーシュネス(ゴツゴツ感)を発生してしまいます。
JRZのバルブスタックは、極めて高精度に加工されたシムによりノンプリロード 構造を実現しています。

4)リバウンドアジャスタブルオリフィス(リバウンド調整機構)
リバウンドダンピングフォースの調整は、ピストンロッド内部のオリフィスを開閉することで行えます。
この開閉ノブはロット上部に取り付けられており16段階の調整が可能であります。

5)リモートリザーバータンク
リモートリザーバータンクはブローオフバルブとオイル室、そしてフリーピストンで仕切られたガス室で構成されています。

6)バンプアジャスタブルブローオフバルブ(バンプ調整機構)
バンプダンピングフォースの調整はリモートリザーバータンク内部のブローオフバルブのブロー圧を制御することで行えます。
この調整ノブはタンク下端に取り付けられており、12段階の調整が可能であります。



7)ガス室(ガス圧調整)
充填ガスはニトロゲン(窒素)を使用し、ガス圧は4〜20barに可変設定が行えます。
また、ド・カルボン型ではバンプ時にピストン上室が負圧になりキャビテーションが発生するのを防ぐのが第一目的に充填加圧されています。
しかしJRZでのガス圧はリフトフォースを発生させるためだけにガスが充填加圧されています。



スペック
・アルミ押し出しツインチューブダンパー
・リモート式フルード&ガスリザーバー
・40MM径ピストン
・16MMピストンロッド
・350lbs(6.25KG)/360lbs(6.43KG)/400lbs(7.14KG)/450lbs(8.04KG)/500lbs(8.93KG)専用スプリングを採用
・ピストン上部のダイヤルにてリバウンドダンピングフォースを16段階で調整
・リモートリザーバータンクの調整ダイヤルにてバンプダンピングフォースを12段階で調整
・リモートリザーバータンク内のガス室へ窒素ガスの充填により4〜20barのガス圧調整によりリフトフォース(ロール剛性)調整可能
・市街地などのロードユースでは低圧でのセッティングにより乗り心地と操縦性を両立
・マウントはダンパーの性能を100%発揮させるためフェリスカルベアリング(ピロボール)を採用

走行フィール
走行フィールは極めて上質でソフトな乗り心地であり、タイヤのグリップを上昇させ、確実な路面伝達駆動力をもたらします。
16段階の減衰力調整、ガス圧の調整により高性能ラジアルタイヤ、Sタイヤ、スリック、ストリート、サーキット、ドライ、 ウエットなどきめ細かなセッティングが可能であり、まさにレーシングフィールドでのニーズに答えたサスペンションシステムです。

ヨーロッパ、アメリカでの多くのレーシングドライバーはJRZダンパーのテストを終え、 以下のようなレポートを第一印象として残しています。

□ 初期ストロークの動きの良さ
□ グリップの向上、車両のスタビリティーの向上
□ タイヤの磨耗減少
□ 長時間でのタイヤ性能向上
□ 優れたコントロール性能
□ 路面からの豊富な情報のつかみやすさ

走行性能

1)乗り心地、ハーシュネスの低減
オリジナルビルシュタインダンパーからJRZダンパー装着車に乗り換えると、まず感じるのが乗り心地の良さと接地感の向上である。
実際はオリジナルに比べレートの高いスプリングを採用しているのでサスペンション剛性が上がり、乗り心地が硬くなるはずが。
では、なぜ乗り心地、タイヤの接地感が向上するのか?
これはJRZサスペンションの構造上の特徴に起因する。
単筒高圧ガスダンパー(ド・カルボンタイプ)とJRZダンパーの透視図をfig1, 2に示します。

一目で解る違いは、JRZはガス室がリザーバータンク内にあり、本体と分離されている事に気付くがこの構造は現在では他のサスペンションメーカーも多く採用しております。
その最大の秘密は、リザーバータンクの内部構造にあります。
一般的な単筒高圧ガスダンパーでは、オイル室の下にフリーピストンで仕切られたガス室があります。
このガスの役割は、バンプ時にピストン上室Aが負圧になるのを防ぐ目的で充填されています。
従ってガス圧は比較的高い15〜20barに設定されております。
またこのガス圧は、オイル全体を加圧しているので、ピストンロッド断面積に比例したリフトフォースを発生させ、 ロール、ノーズダイブ等を抑制する役割を持っています。
しかし、このガス圧がバンピーな路面でゴツゴツ感(ハーシュネス)を発生させてしまいます。
fig1に示すように、路面からの衝撃力は、ガス室の容積を減少させガス圧を上昇させてしまいます。
路面からの衝撃によりガス圧の上昇に伴い加圧されたオイルによりリフトフォースが増加します。
つまりピストンが下降しようとするのを妨げる方向に力が働くので十分な減衰が行えず、ガス反力がそのまま、 車体に伝達されてしまいゴツゴツ感を招いてしまいます。
この様な現象を抑制するためには、バンプ減衰力を減少させるのが有効と考えられますが下げると操縦安定性を損なってしまいます。
他メーカーでも、この現象を小さくするために加工精度を上げてフリクションを小さくしまた独自のバルビングシステムにより初期のピストンの動きをスムーズにしているようであるが構造上ガスの反力の影響が車体に伝達されやすいのは変わりません。

JRZではガス室と本体オイル室は、その間にブローオフバルブがあるので衝撃入力時でもガスの変化は小さくまた、 急激に上がり反力を発生させることはありません。
JRZに衝撃力が路面より入力された場合は初めにピストンをかいしてピストンA室が加圧され、 加圧されたオイルはリザーバータンク内のオリフィスを通り、ブローオフバルブを加圧します。

ブローオフバルブの設定圧に達するとバルブが開きタンクオイル室にオイルが充填され、ガス圧が上昇するわけであるが同時にピストンを通り、 ピストンB室にオイルが移動するのでガス圧の上昇は、微少であり、ガス圧が元に戻るのも早い。
従って、ガスの反力が車体にほとんど伝達されずスムーズなダンピングが可能となります。
これがJRZサスペンションの最大の特徴であり、最も他メーカーと差別化されるポイントであります。

2)超高速直進安定性
高速(200km/h以上)での直進性を確保するためには超微低速域(0〜0.05m/s)でのダンピングフォースが重要となってきます。
JRZではノンプリロード構造のバルブスタックにより、この超微低速域でのダンピングフォースの立ち上がりをスムーズにしているので、超高速走行での直進安定性を確保することができます。
ではなぜ200km/hオーバーで走行する場合、超微低速域でのダンピングフォースが必要となるのでしょう?
 もし道路がフラットでタイヤの外径、幅等が全く同じであれば超微低速域でのダンピングフォースなどは必要ありません。
しかし実際は、一般道から高速道路まで継ぎ接ぎだらけの凸凹であり、タイヤの数ミリの誤差は当たり前であります。
この様な状況で超高速走行を行うと、路面からの入力は高周波となるので接地圧の変化も小さくなり走行条件としては低速時より良くなります。
しかしながら、ブッシュ、スプリングサポートラバー、タイヤの微少なたわみは発生してきます。
100km/h位の速度であればこれらのたわみによる影響は走行上ほとんどありませんが、200km/h以上では、エンジンが高負荷状態にあるので駆動力が100km/h時の数倍になっています。
そして、これらの微少たわみによるタイヤ接地圧の変化が駆動輪の左右駆動力差となり、ヨーイング(旋回する力)を発生させ、車両がフラフラとし始めます。
これらのブッシュ等の変形は、超微低速で起こるため、この現象を抑制するためには超微低速域でのダンピングフォースが必要となってきます。

販売価格:ダブルアジャスタブルサスペンションシステム(専用スプリング、付属品を含む) ¥630,000 
2007年6月より価格改定とさせて頂きます。